鍼灸・皮膚刺激療法 | 皮膚刺激療法とは

鍼灸・皮膚刺激療法
皮膚刺激療法とは
はじめに:皮膚刺激療法のいろいろ

 鍼灸(しんきゅう)のはりは針を体内に刺し、灸は艾(もぐさ)で火傷をさせて治療としての刺激をあたえる。
 按摩は一部筋肉部まで含めてもみほぐし、指圧はやはり押圧を治療とする。
 マッサージは主に皮膚表面上の広い刺激が中心になる。
 その他に吸角( 吸すいだ玉ま)、粒子貼付、通電、温・冷熱その他いろいろな刺激法がある。
 病状、体質、体調など諸条件により適否はあるが、未だ各症状に対する決定的かつ最適な方法は確立されていない。
 更に効くようにと一般に強い刺激を求めがちだが、ほとんどの病気に対しての治療、回復の作用は生理活動の内で、交感神経ではなくて副交感神経の働きになる。この癒しを活発にさせるのは、やわらかな、穏やかな刺激であり、強い苦痛を伴った刺激ではなくて気持ちよい穏やかな刺激がより効果がある。
 一般的な原則では、強い凝りや痛み、又活動期の症状などの実症(じっしょう)には、少々強いめの刺激が、逆の冷えや麻痺を伴った経過の長い弱りきった虚症(きょしょう)には、より気持ちのよい穏やかな弱刺激がよいとされている。
 それぞれの治療法には長短所がある。前記の強弱に加えて治療点(つぼ)の選定も大切である。又一日の時間とともに変化する体調に合わせて治療する旺分(おおぶん)の時(タイミング)や刺激時間の総量などを考えるとより有効率が高くなる。
 皮内針や粒子貼付は弱い刺激であり、これらの考慮や調整を刺激を受ける体が、刺激を必要とする時は「つぼ」が感受性を高めて多く受け入れ、必要がなくなれば通常の健康な皮膚になって刺激を受けなくなるために、術者の知識や技術をあまり必要とせ
ずに自動調節、自動受信をする便利な方法である。

1)皮膚は体の変化を写す鏡

 皮膚の主たる働きは体内の筋肉や内臓・気管を包み外部と遮断していろいろな危害から体を守ることである。しかし、単なる包装用品ではなくて、体全体と関連し合って、全体的にも又、各部所ともに時々の状況でいろいろに変化する。
健康状況による皮膚全体の変化及び特定の部位に現れるものや、又、特定の各部位や臓器・器官ごとに変化する部位などがある。
 更にこのような変化した点や変化し易い皮膚に治療のための刺激をすると対応する部位や症状に作用させることができる。
 体内の変化に反応し全身的な機能に作用し易い部位や個々の臓器や器官および部位によく作用する点が永年の経験から把握されていて、ツボや経穴として広く使われている点である。

2)ツボ、経穴 反応治療点

 体調不良、一部の内蔵や部位に障害や病気があると、主にそのところの皮膚に変化が現れる。更にそれぞれに関連した経穴等といわれるところが変化する。
この皮膚部位や点への治療刺激は他所に比べて症状や原因となっている器官や部位に強く作用する。
鍼灸治療の永い経験で積み重ねて使われてきたこの相互関係は、経絡現象といわれる想像上の気の流れと線で結ばれるとされている。
解明されない現象が多々あるが、現在になって主に知覚神経系で伝わり、その他の神経系から各種ホルモン分泌や生理機能に作用することで治療になることが判ってきた。 これは外傷や障害での知覚が麻痺したツボを刺激してもほとんど作用にならず、また、逆に患部の反応で過敏になったツボのみならず指先などの過敏点への刺激がよく作用することから推測できる。