鍼灸振興会について | ご挨拶

鍼灸振興会について
ご挨拶

当会は故・阪村義一(修作)が昭和8年(1933)に鍼灸関連の学術的な出版活動を始めたのを起源にしています。
第2次世界大戦前までは主に黄帝内経・素問霊枢(こうていだいけい・そもんれいすう)等の和訳が中心でした。
 戦後は京都大学医学部の生理学教室にて笹川久吾先生が日本鍼灸学会を主宰された関係等で当教室の研究者の論文出版や研究講演会の開催等に変化していきました。 
 昭和25年(1950)に「鍼灸科学」誌の継続出版を始めました。学術的な論文の掲載もありましたが、多くは治療実績に高い臨床家の寄稿によるもので鍼灸師の治療に直接役立つものがほとんどでした。
 更に上記の生理学教室からの研究や論文発表があり、「内蔵皮膚(体壁)反射・皮膚内蔵反射」、「良導絡治療」。「皮電点の研究」その他鍼灸治療の第2次黎明期に深く関わってまいりました。
 昭和36年6月下旬号から誌名を「東洋医術」に名称変更しました。
鍼灸や指圧及びマッサージなどの皮膚刺激には多大な作用があるために、世界のほとんどの地域で古くから種々な方法で行われています。
 皮膚への刺激とその作用による効果は鎮痛などの知覚から生理機能や体質改善等多岐にわたることを経験上把握されていて、この入口と出口は周知の事実でありながらある程度以上に発展しない点を解決しなければならないと考えます。
 作用効能について、普遍性に欠けることがあり、治療を受ける個人差やその時々の時間による体調の変化、また気温や環境による精神的な状態での感受性からの生理作用の違い等々で、効果が左右される。これらの諸条件を分析分類し普遍性のあるものにできればと考えています。
 治療による作用と結果に加わる他の要素があまりにも多く効能を作用させるために、この解決策として中国での諸事を分類した陰陽や五行及び経脈での治療点分類や症状の把握が日本に伝わり現在の鍼灸の根幹になっていることも正常な発展に足枷になってきたようにも思います。
 経・絡脈や経穴にはやはりそれなりの説得力がありますし、この研究も必要です。
 これらのことから皮膚刺激治療には確実な作用があるが、いまだ把握できない要素による不測の結果や想像による作用機序等に対して現在知り得る科学での分類や裏付けをすることが発展への第一歩と考えます。
 非営利の団体として、皮膚=体表=体壁と体内諸器官や体調等との関連性についての研究助成や臨床での実績報告などの活動を目的にします。